一五八〇年、信长の制覇ならず、各地に群雄割拠していた顷のこと。武蔵国北条康政の部下稲叶弥十郎は、枪を使っては関东一と讴われる豪放な武将であった。闘志と自信に充ちた弥十郎は、大きな世界で存分に働くことを梦に、康政の元を去った。が、これを耻辱と受取った康政は、弥十郎の友市兵卫を含めた四人を追手に向けた。戦国の山野をさすらう弥十郎はある贫しい集落で、女に乱暴をしようとする野武士を斩ったが、何故かその弥十郎に村人は白い眼をむけた。弥十郎は売春妇奈々から集落のすべてが野武士におさえられ、野武士の仕返しを恐れて、弥十郎によそよそしいのだという。话を闻いた弥十郎は、「生きる力を教える」ためにもと、协力して野武士と戦うことにした。荒んだ奈々の心に弥十郎が大きな存在となったのもこんな时であった。一方追手となった市兵卫らはこの集落に入り、决闘しようとするが、野武士との戦...(展开全部)一五八〇年、信长の制覇ならず、各地に群雄割拠していた顷のこと。武蔵国北条康政の部下稲叶弥十郎は、枪を使っては関东一と讴われる豪放な武将であった。闘志と自信に充ちた弥十郎は、大きな世界で存分に働くことを梦に、康政の元を去った。が、これを耻辱と受取った康政は、弥十郎の友市兵卫を含めた四人を追手に向けた。戦国の山野をさすらう弥十郎はある贫しい集落で、女に乱暴をしようとする野武士を斩ったが、何故かその弥十郎に村人は白い眼をむけた。弥十郎は売春妇奈々から集落のすべてが野武士におさえられ、野武士の仕返しを恐れて、弥十郎によそよそしいのだという。话を闻いた弥十郎は、「生きる力を教える」ためにもと、协力して野武士と戦うことにした。荒んだ奈々の心に弥十郎が大きな存在となったのもこんな时であった。一方追手となった市兵卫らはこの集落に入り、决闘しようとするが、野武士との戦いを前にした弥十郎は村人を前に苦悩した。一计を案じた弥十郎は、「四人の武士が味方するが、敌をあざむく为に、野武士に加わると见せかけて后から攻める」と话した。集落の利兵卫が内通者である事を利用したのだ。野武士との戦いが始まった。利兵卫から话を闻いた野武士は、追手の四人めがけて一斉に矢をひいた。途中、市兵卫は、自分が弥十郎に加担していることに気づいたが、もはやどうすることも出来なかった。戦いは村人の胜利に终った。村人の歓声を后に、市兵卫と対立する弥十郎。一瞬あやうい二人の间に、马车をのり入れたのは奈々であった。一瞬市兵卫の矢はそれ、弥十郎の枪先は市兵卫の胸を刺していた。街道を、奈々を马上にのせた弥十郎は、梦をもとめて旅立っていった。...